利用規約のテンプレートを使う前に要チェック!10の確認ポイントと注意点

テンプレートの役割と限界

近年、ネット上には有料・無料を問わず「利用規約テンプレート」が数多く出回っています。
これらは、特に個人事業主やスタートアップにとって大変便利で、カスタマイズするだけで完成してしまうため、面倒な利用規約作成のハードルを下げる有益な存在です。

しかし、一方でテンプレートの内容をよく確認せずに流用したことで、後々大きなトラブルに発展する可能性も十分存在します。

この記事では、テンプレートを使う前に必ず確認しておきたい10項目をチェックリスト形式で紹介します。

利用前に確認すべき10項目【チェックリスト】

事業内容に合っているか
一般的に、公開されているテンプレートはあくまで汎用型です。そのままで自社サービスの業種・内容に本当に合っていることは希ですので、事業内容と十分に比較し確認しましょう。

サービス特有のリスクに対応しているか
例えばマッチングサイトとクラウドサービスでは、重視する必要のあるリスクは異なります。サービスや事業ごとの特有リスクについて考慮されているか確認しましょう。

決済・キャンセルポリシーの記載があるか
有料サービスの場合、支払い条件やキャンセル条件の記載が抜けるとトラブルの元です。

ユーザー間のトラブル防止条項があるか
CtoCサービスやユーザー間でのやりとりの発生するサービスでは、ユーザー同士の揉め事にどう関与するかが重要です。

免責条項が過剰・不十分でないか
「一切責任を負わない」という規定だけでは無効になる場合があります。内容のバランスを見ましょう。

(参考)

著作権・知的財産権の取り扱いが明確か
コンテンツ配信サービスや、ユーザー投稿型のサービスでは、ユーザーが投稿するコンテンツの権利関係を整理しておく必要があります。

個人情報の取り扱いが適切に記載されているか
利用規約とプライバシーポリシーは役割が異なります。混同していないか、そして利用規約とは別にプライバシーポリシーを定めている場合は、その内容と矛盾が無いか確認が必要です。

未成年者による利用の想定があるか
未成年者も利用できるサービスの場合、法令上の制限や法定代理人の同意取得確認などについても確認した上で、適切なルールを設定することが重要になります。

紛争解決・裁判管轄の記載があるか
サービスを運営していく中で、トラブルが発生することは十分に考えられますので、その時にどのように対処するか、そして多くの場合ユーザーは全国各地(サービスによっては全世界)に存在していますので、裁判所の管轄や準拠法などについてのルールを設けておくことも重要です。

改定に関する規定が存在するか
利用規約も契約である以上、内容を勝手に変更することは原則としてできません。法令に沿った改定の条件や通知方法が明記されていないと、トラブルの発生や、改定が無効とされるリスクがあります。

(参考)

テンプレートでは対応しきれないケース

特に有料のテンプレートであれば、専門家が作成してる場合もあるため、基本的な内容が充実したものが公開されている場合が多いと思います。

ただ、そのようなテンプレートであっても、例えば次のような個別事情まではカバーできていない場合が考えられます。

  • AIや自動生成コンテンツの取り扱い
  • ユーザー間の金銭トラブルへの対処
  • 特殊な法規制(医療、金融など)への対応

これらは利用規約の対象となるサービスや事業の個別性に応じて、注意深く専門的な目で調整する必要があります。

必要に応じて専門家に相談を

以上の点に注意していれば、インターネット上で公開されているテンプレートをカスタマイズして利用規約を作成することは、費用や所要時間などの面で非常にメリットがあります。

その一方で、やはり自社内で作成する場合は、専門的な知識が不足していたり、”事業者側の視点”のみで判断してしまう傾向が生じやすいといえます。

そのため、テンプレートを利用してカスタマイズした場合であっても、専門家に相談することで次のようなメリットがあります。

  • サービス内容に合ったカスタマイズ
  • 事前のリスク分析と法的観点の助言
  • トラブル時に備えた防御力の強化

「トラブルが起きてから」ではなく、「起きる前」の備えとしての利用規約は、事業者にとって大切な資産です。

テンプレは出発点にすぎない

ネット上のテンプレートは便利ですが、これらはあくまで出発点であって、万能な完成品ではありません

今回のチェックリストを活用し、自社に必要な項目を洗い出し、必要に応じて専門家の力を借りることで、事業やサービスの信頼性と安全性を高めましょう

当事務所では、「テンプレートをカスタマイズしてみたけど、それだけでは不安なので確認してほしい」というご相談も多くいただいております。気になる方は、ぜひお気軽にお問い合わせください

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